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世界と異世界のわたし

わたしの日常とか非日常とか。 世界と異世界 http://www.sis.saloon.jp/

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無題

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ひさしぶりの実家。
おかあさんが亡くなってから、おとうさんは部屋にいつも花を飾っています。
今日は芍薬でした。

お庭ではブルーベリーが実を付けています。
葡萄はこの前の大風で、一番有望だった枝が折れちゃったって。
あと、柚子もたくさん実っていたけれど、木そのものがまだ小さいので、
ほとんど落ちるんじゃないかなあ、という感じ。
お花は、隅田の花火という紫陽花。
まだ満開ではないけれど、きれいに咲いていました。

以下は、以前の日記でちょっと触れた、かなしいこと、を、書きます。
愛猫の、はるさんが、亡くなりました。
4月のことです。

その日は、わたし、おとうさんとお出かけしていたの。
上野の美術館を一緒に見に行く約束をしていて、待ち合わせをして、
さあ行こうというバスの中で、おとうさんが、そう言えばね、て。
はるさんが元気がないよ、最近ご飯もあまり量を食べないし、
今日あたり、そろそろかもね、なんて言い出して。
ショックでした。
おとうさんは家族の中で一番、そういうことに関してドライな人で、
こはるさんのときも、まあよく長生きしたね、と、さっぱりしていて。
でもわたしは、寿命のあることがどんなに仕方なくても、
死ぬことが仕方ないとは、どうしても思えなくて。
自然なことだとはわかっても、仕方ないとは思えなくて。

何度も「帰ろう」と言い掛けて、でも、
おとうさんがお出かけの日を心待ちにしていたのも知っているから、
とても楽しそうに笑っているから、どうしても言い出せなくて。
結局、はるさんのことが心に引っかかったまま、一日過ごして。

その日の夜、家に帰ったおとうさんから、
戻ったらはるさんが亡くなっていたとメールが来ました。

泣けませんでした。
何が何だかよくわからなくて、かなしいのかどうかもわからなくなって。
こはるさんのとき、あんなに夜通し泣いたのに、一粒も涙が出なかった。
落ち込みました。
はるさんに対するいろんな気持ちの中に、罪悪感や後悔が含まれていて、
それがすごくいやで、そんな身勝手さも更にいやで。

今日、その後はじめて実家に帰り、
ああ、はるさんは、もういないんだな と、痛感しました。
はるさんの部屋は片付けられて、物置になっていました。
つらかった。
はじめて、ちゃんと「かなしい」と感じました。

はるさん、最後に会いにいけなくてごめんね。
21年も、どうもありがとう。
ここに書いたところで伝わるわけはないけれど。
うちに来てくれて、うちの子になってくれてありがとう。
はるさんの、ぎざ耳や、短いしっぽや、背中の模様や、
ちょっと控えめで慎重な性格や、海苔が大好きなところ、
ソプラノでピアニシモな声、怪我の跡のある前足、
みんな可愛くて大好き。

はるさんが死んでしまったことを、ちゃんと受け止めるよ。
ありがとう。さようなら。

……やっと、言えました。
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